日常的に使うキッチン。より使い勝手のいい設備や動線、好みのレイアウトを求めてリフォームを検討される方は多いことでしょう。

ただしマンションの場合、戸建て住宅よりも制約があることが多く、注意が必要です。

今回はそんなマンションのキッチンリフォームについてご紹介します。

キッチンリフォームの種類と費用相場

マンションのキッチンリフォームにかかる費用は、50万〜300万円ほどと大きく幅があります。システムキッチンの交換のみであれば50万〜150万円程度に収まることが多いですが、レイアウトの変更を伴う場合、費用が大きく上がります。

キッチンのレイアウトは主にI型、L型、対面型の3つに分けられます。それぞれの特徴と、交換にかかる費用相場をご紹介します。

I型のキッチン

コンロ・シンク・調理スペースが横一列に配置されているキッチンです。壁づけ式のキッチンでは最も多い形状ですが、対面型のものもあります。費用の目安は60万円〜。

L型のキッチン（壁付け/対面式）

その名の通り、L字型に配置されるキッチンです。壁づけ式の場合は２面が壁に接しており、対面式の場合は1面が壁に接しています。動線を確保しやすく、複数人で立っても料理しやすいメリットがあります。費用の目安は70万円〜。

アイランド型のキッチン（対面式）

壁に固定されず、島のように独立しているキッチンはアイランド型と呼ばれます。雰囲気のよいキッチンダイニングの空間を演出でき、また動線も確保しやすく利便性も高い形状です。

ただし、通路の確保のためにスペースが必要で、間取りが広くないと圧迫感も出てしまいます。マンションの場合、採用しづらいケースも多い形状です。費用の目安は80万円〜。

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キッチン本体の交換以外で、ニーズの多い施工内容には以下があります。

内装工事

キッチンの床や壁を一緒にリフォームする場合、面積や素材によって費用が変動します。床材の制限や壁の構造にも留意し、約4万円〜5万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

キッチンの移動

キッチンの場所を変更する場合、15万円から50万円ほどの追加費用がかかります。ただし、マンションの構造や配管の状況によっては移動が難しい場合もあるため、事前に確認が必要です。

マンションでのキッチンリフォームの注意点

マンションは集合住宅である性質上や、規約によってリフォームの内容が制限されることが少なくありません。特にキッチンリフォームの場合、注意点が多くあります。

規約による設備や施工内容の制限

マンションには管理規約が存在し、リフォームに関する厳格な条件が明記されています。特にキッチンリフォームでは、床材や防音対策に関する規定が多いため、慎重な確認が必要です。

床材に関しては、階下の住戸に響く音や振動を考慮し、一部の素材が制限されていることがあります。リフォーム前に管理会社に相談し、使用可能な素材を確認しましょう。

レイアウト変更に伴う注意事項

壁付けキッチンを対面式に変更する場合、通路幅の確保に注意が必要です。通路が狭くなると、キッチンの動線が制約され、使い勝手が悪化します。

レイアウト変更によっては、配管や電気設備の配置も変更が必要な場合があり、費用も大きく上がる可能性があります。

キッチンの移動制限と床下の課題

マンションの床下には限られたスペースしかなく、キッチンを移動させる場合、排水管の勾配などに制約が生じます。これにより、理想的な位置にキッチンを配置することが難しい場合があります。

床下の調査を行い、移動が可能な場合でも、追加で床の張り替えや補強が必要な場合があります。これにより費用が増加する可能性があるため、事前の確認が欠かせません。

IHクッキングヒーターへの変更に伴う問題

ガスからIHに変更する場合、電力使用量が増加します。しかしマンションでは各住戸に供給される電力に上限があり、IH使用に必要な電力が得られない可能性があるのです。 電気工事に関しても、管理組合の許可が必要であり、管理規約によっては難しい場合があります。計画前に管理会社と調整し、許可を得てから工事に着手しましょう。

思っているよりもかかるかも！？マンションリフォームは予算に注意

マンションのリフォームは、施工できる範囲が限定的なだけに、戸建てよりも費用総額を抑えられるのが一般的です。ただし、施工箇所の内訳で言うと、マンションの方が割高になっているケースが少なくありません。マンションの規約によって、施工できる工事が限られていたり、防音など担保するべき機能が定められているのがその理由です。

実際に、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会が2021年に実施した「住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」によると、マンションリフォームと戸建てリフォームでは、平均予算と実際の費用の差に大きな違いが見られました。

◆戸建てリフォーム

平均予算277.4 万円に対し、実際にかかった平均費用349.7 万円。

⇒予算を26%オーバー

◆マンションリフォーム

平均予算238.4 万円に対し、実際にかかった平均費用329.7 万円。

⇒予算を38%オーバー

どちらも予算をオーバーしていますが、マンションリフォームの場合その差が顕著であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

今回紹介しているキッチンのリフォームでも、基本的な料金は変わらないものの、使用できるキッチン本体や設備が限られていたり、規約や構造を踏まえた工事となることで、価格差が出る可能性があります。 マンションリフォームは総額こそ抑えられますが、「思っていたより」高くなりがちなので、余裕を持った予算設計を心がけましょう。施工箇所が多くなる場合は、住宅ローンの活用なども視野に入れるのがおすすめです。

予算が足りない・・・そんなときはローンの活用も

レイアウト変更を伴うキッチンリフォームや、水回りなど他の設備と合わせてリフォームする場合、費用が数百万に及ぶことも珍しくありません。想定していたよりも費用がかかりそう、予算が足りないけれどリフォームしたい・・・という場合は、リフォームローンや住宅ローンの活用もおすすめです。

リフォームローンの場合、多くは1000万円程度が上限。審査が比較的通りやすい便利なローンですが、金利がやや高く返済期間も短いため、大きな額となる場合は慎重に検討しましょう。

中古マンションを購入してリノベーションする場合は、住宅ローンでまとめて借入する方法があります。また、購入時の住宅ローンが残っている場合、残債とリフォーム費用をまとめて「借り換え」する方法も。これらは住宅ローンとリフォームローンで分けて借り入れることもできますが、住宅ローンでは「金利が安い」「返済期間が長い」「借入上限が高い」「要件を満たした場合、住宅ローン控除が使える」といったメリットがあるため、使用できるケースであればぜひ検討してみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。マンションのリフォームでは規約などにより、戸建てとは異なる制約が多くあります。特にキッチンリフォームでは注意点が多く、キッチン本体やレイアウトの選択も慎重に行わなければなりません。

マンションリフォームではこうした制約の多さや専門性が求められることから、「リフォーム専門業者」に依頼されることが非常に多いのも特徴です。先の調査資料によると、実際にマンションリフォームを実施した方の半数以上がリフォーム専門業者に依頼。戸建ての場合と比べて20％弱も多く、マンションリフォームほど専門性が重視されていることがわかります。 ぜひ今回ご紹介した注意点や費用相場を踏まえ、信頼できる業者を探してみてください。