飲食店の蛇口(水栓)は、ひねるタイプがNGに!?新基準の手洗い設備について
2021年6月に食品衛生法が改正され、飲食店の手洗い場に設置する蛇口(水栓)の基準が変更されました。これにより、従来の「ひねるタイプ」の水栓がNGに。飲食店でも広く使われているタイプのため、変更を迫られる店舗は多いことでしょう。この記事では、新基準の背景や具体的な変更内容、水栓の交換が必要な場所やタイミング、そして費用相場について詳しく解説します。
食品衛生法の改正で、水栓の基準が変更に
2021年6月に施行された改正食品衛生法では、衛生管理の強化を目的にHACCP(ハサップ)に基づく衛生管理が義務化されました。この一環として、飲食店で厨房内の手洗い場に設置する蛇口(水栓)にも新たな基準が設けられています。
改正後の基準では、「手指の接触を最小限に抑える水栓」が求められています。従来の「ひねるタイプ」の水栓、いわゆるハンドル蛇口はこの新しい基準を満たすことができません。
具体的には、以下のタイプが基準に適合します。
・レバー式(手首や腕で操作することができる)
・センサー式(水に触れずに自動で出る)
・プッシュ式(手で押して一定時間水が流れる)
・足踏み式(ペダルを踏むことで水が流れる)
これらの水栓は、直接手でひねる必要がないため、二次汚染を防ぎ、衛生管理を徹底できるのです。
水栓の交換をするべき場所
新基準が定められたものの、店舗にあるハンドル式の水栓すべてを交換しなければならないかというと、そうではありません。
交換しなければならないのは、調理場(厨房)の手洗いをする場所の水栓のみで大丈夫。新基準で定められているのは、あくまで厨房の衛生管理だからです。 なお、飲食店のほかにも、食品製造業や宿泊施設など、食品を扱う施設すべてにこの基準が適用されます。
交換するべきタイミングは?
開業時の営業許可申請
飲食店を新たに開業する際には、営業許可を取得する必要があります。この際、手洗い設備が基準を満たしていなければ許可が下りないため、開業前の準備段階で基準に適合した水栓を設置するようにしましょう。
営業許可の更新時
既存の飲食店でも、営業許可を更新する際に基準の適合が確認されます。このタイミングで基準を満たしていないとやはり更新ができません。ハンドル式の水栓を使用している場合は、必ず更新の申請前に交換するようにしましょう。
水栓交換の費用相場
新基準への適合のため、ハンドル式の水栓から交換する場合、どのくらいの費用が必要となるのでしょうか。以下がタイプ別の費用相場(工事費込み)です。
レバー式水栓、プッシュ式水栓:2万円〜7万円程度
レバー式は比較的手頃に交換が可能。本体価格によって幅があり、一般的なものであれば2〜4万円程度に収まりますが、シャワー機能、浄水機能などがついたタイプでは費用が上がります。
基準をクリアする目的としては、レバー式やプッシュ式が最もお手頃と言えるでしょう。
センサー式水栓: 7万円〜20万円程度
タッチレスで水を出すことができるセンサー式は、費用相場が大きく上がります。
利便性は非常に高いため、ご予算次第ではぜひ検討しましょう。
足踏み式水栓: 4万円〜10万円程度
こちらも費用感がやや上がりますが、接触を抑える効果が高い足踏み式。足元にペダルやスイッチを取り付けるスペースが必要です。
費用は設置環境や業者によっても異なるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
まとめ
飲食店における蛇口(水栓)の基準は、改正食品衛生法によって大きく変更されました。食品を取り扱う厨房では、手指の接触を抑えられる水道設備の設置が求められます。開業時や営業許可の更新時には水栓が基準を満たしているかを確認し、必要に応じて交換を検討しましょう。費用相場を参考にしつつ、複数の業者に相談して最適な選択をするのがおすすめです。