空き巣の防犯対策徹底ガイド
空き巣は、住宅や建物に侵入し、金品を盗む犯罪の一種です。
空き巣犯は侵入方法や状況に応じてさまざまな手口を用いるため、それを理解することで効果的な防犯対策が可能になります。
住宅地や閑散とした地域、特に夜間の人通りが少ない地域などは発生確率が高いと言われているため、当てはまる方はぜひこの機会に、防犯対策を検討しましょう。
空き巣の手口
・代表的な空き巣の手口
1.ガラス破り
窓ガラスを破って侵入する手口です。主に、クレセント錠付近(窓ガラスの鍵付近)を破壊し、手を伸ばして内側から鍵を開ける方法や、ドリルや特殊工具で窓に小さな穴を開け、工具を差し込んで鍵を解除する方法などがあります。
<効果的な対策>
二重窓や防犯ガラスなどを設置するのが最も効果的ですが、防犯フィルムを貼ることでガラス破りに時間がかかるようにするのが最も手軽な対策です。
2.無施錠狙い
玄関ドアや窓が無施錠の状態を狙って侵入する手口です。田舎などは特に、短時間の外出でも鍵をかけない方などがいらっしゃると思いますが、そういった方の行動パターンに目をつけてターゲットにする手口です。
<効果的な対策>
ちょっとした外出でも外出時は必ず鍵をかける習慣をつけましょう。窓なども開けっ放しにしないことが大切です。
3.ピッキング
古いタイプの鍵や簡単な構造の鍵を対象に、特殊な工具を使い玄関や勝手口の鍵を開ける手口です。
<効果的な対策>
ディンプルキーや電子錠などピッキングに強い鍵に交換する、もしくは鍵の周辺に防犯カバーを取り付けるなどがおすすめです。
4.サムターン回し
ドアの覗き穴や郵便受けから工具を差し込み、内側のサムターン(鍵のつまみ)を回して解錠する手口です。
【効果的な対策】
サムターン回し防止カバーを設置するとともに、覗き穴や郵便受けを外から塞ぐ対策を行いましょう。
5.窓枠外し
窓枠全体を外して侵入する手口です。クレセント錠がかかっていても、場合によっては意味なく侵入を許してしまう場合があります。
<効果的な対策>
窓枠に補強金具を取り付けて外しにくしたり、補助錠を設置するなどの対策が効果的です。
6.こじ開け
ドアや窓をバールなどの工具を使って力ずくでこじ開ける手口です。防犯性能が低いドアや窓が狙われやすいのが特徴です。
<効果的な対策>
防犯性能が高いドアや窓に交換するのをおすすめします。補助錠やセンサーライトを取り付けるなども効果的です。
7.偽装による侵入
作業員や業者を装い、堂々と侵入するケースです。配管工や電気業者などに変装し、近隣住民の目を欺きます。
<効果的な対策>
不審な業者がいたら必ず正当な身分証を確認するようにしましょう。また、身分証の提示をはぐらかしたり、言動が不審な業者と接触したら、周囲の住人にも情報を共有して警戒をするようにしましょう。
・空き巣の行動
空き巣は、屋根裏・通風口・換気扇・ベランダなど通常の出入口以外の経路から侵入することもあります。集合住宅では隣の部屋のベランダを伝って侵入する場合にも警戒が必要でしょう。
また、用意周到な窃盗犯は、ターゲットが家を空ける時間や生活パターンを入念に観察し、留守になるタイミングを狙ってきます。SNSが発展している現代において、ターゲットの行動パターンを把握するための情報取得は、さほど難易度は高くありません。
狡猾な空き巣犯にも対応できるように、しっかりと対策を取りましょう。
<効果的な対策>
ベランダに侵入防止の柵やネットを設置する。屋根裏や換気口には防犯用の格子を取り付ける。超不在の場合は郵便物を止めるか、誰か信頼のおける方に取り込んでもらうなどの対策を取りましょう。
空き巣に入られる前兆や下見のサイン
・空き巣はこうして下見する
用意周到な空き巣は、犯行前にターゲットの家を入念に下見し、侵入可能かどうかを調べます。その際、犯人が残す「前兆」や「サイン」を察知することが、防犯対策の第一歩となります。 空き巣に入られる前兆や下見のサインについて、具体的なパターンをご紹介しましょう。
1.不審なマーキングや目印
侵入する家を特定するために、目印を家の周囲に残すことがあります。 例えばポストや壁、門扉の付近にチョークやペン、ときにシールなどのモノで、何らかの記号などを残すパターンが良く知られています。その記号によって、侵入しやすいかどうか、いつ侵入するべきかなどを書き記します。
一見すると落書きにも見えるサインなので気づきづらいかもしれませんが、もしも気づいたらすぐに消して、防犯設備を強化するようにしましょう。
2.不審な電話や訪問
アンケートや営業を装った電話や訪問で接触し、その時間や会話の内容から、生活リズムや家族構成、不在時間などを探ります。特に、宅配業者やガス・水道業者を装うケースが多いほか、無言電話や間違い電話などにも注意が必要です。
3.周囲の観察
建物を観察するふりをして、侵入経路を確認している可能性があります。普段は見慣れない車やバイクなどが何度も停車していたり、長時間様子を伺っている気がするなどの変化があった場合は、注意が必要です。
4.夜間の異常な物音やライトの動き
夜間に物音がしたり、普段人の出入りが無い時間にセンサーライトが点滅したなどの場合は、空き巣が侵入可能な箇所を探っていたり、外部からの侵入を試みた可能性があります。
5.鍵や窓周辺の異常
鍵穴に心当たりの無い傷があったり、窓の外側にひっかいたような痕跡がある場合は、侵入を試みた形跡です。
6.捨てたゴミに違和感
捨てたゴミが開けられたり動かされたりしているなどの違和感を感じた場合、空き巣犯がゴミ袋をさぐって生活状況を確認している可能性があります。
これらの下見から、成功の可能性があり経路が明らかだと判断されると、いずれ空き巣被害にあう可能性があると言えます。
・空き巣犯の前兆や下見の痕跡がないか注意深く観察する。
・ポストに投函された郵便物を放置しない。
などの心がけだけでも少しは効果が見込めます。
ただし、それでも物理的に空き巣被害を防止するためには、防犯設備の見直しと強化が必須となります。具体的にどのような対策が効果的なのかをご紹介しましょう。
空き巣被害に合わないために
ここからは、空き巣を防止するための具体的な防犯設備についてご紹介していきます。
・センサーライトと防犯カメラ
言うまでもなく、センサーライトや防犯カメラの設置は必須と言えるでしょう。
設置されているだけでも防犯意識が高いことを犯人にアピールすることができますし、万が一空き巣被害にあった場合も、犯人の特定や事件解決の重要な証拠を得ることができます。
・防犯フィルム
防犯フィルムは、特殊なポリエステル素材で作られた透明なフィルムで、窓ガラスの内側に貼り付けて使用します。このフィルムは高い強度と粘着性を持ち、ガラスが割れた際にも破片の飛散を防ぎます。また、フィルム自体が強靭であるため、外部からの衝撃や工具による攻撃に対してもガラスの破損を抑制し、侵入を困難にします。
◯ 防犯フィルムの効果
・侵入抑止効果
防犯フィルムを貼ったガラスは、割れにくくなるため、空き巣が侵入を試みても時間がかかります。警察庁のデータによれば、侵入に5分以上かかると約7割の泥棒が犯行を諦めるとされています。
・ガラス飛散防止
地震や台風などの災害時にガラスが割れても、フィルムが破片の飛散を防ぐため、二次被害のリスクを軽減します。
・紫外線カット
UVカット機能を持つ防犯フィルムは、室内への紫外線の侵入を防ぎ、家具や床の日焼けを防止します。
・プライバシー保護
目隠し効果のあるフィルムを選ぶことで、外部からの視線を遮り、プライバシーを守ることができます。
・二重ロックの設置
二重ロック(ツーロック)は、1つのドアに2つの鍵を設置することで、防犯性能を向上させる方法です。特に、異なる種類の鍵を組み合わせることで、ピッキングなどの不正解錠がさらに困難になります。警察庁も一般家庭に対して推奨している防犯対策であり、空き巣対策に有効とされています。
◯ 二重ロックの効果
・侵入時間の増加
複数の鍵を解錠する必要があるため、侵入に時間がかかります。警察庁のデータによれば、侵入に5分以上かかると約7割の泥棒が犯行を諦めるとされています。
・防犯意識のアピール
二重ロックは外部から見ても防犯意識の高さを示し、犯行の抑止力となります。防犯性の高い家は空き巣に狙われにくい傾向があります。
・鍵紛失時の安全性
異なる種類の鍵を使用している場合、1つの鍵を紛失しても、もう1つの鍵が機能するため、即座に侵入されるリスクを減少させます。
・サムターン回し防止カバー
サムターン防止カバーは、ドアの内側にある鍵のツマミ(サムターン)を覆うことで、不正な工具や手法による鍵開けを防ぐための防犯グッズです。外部からの侵入手口の一つである「サムターン回し」を物理的に防ぐことを目的としています。
通販などで簡易的に設置できるものが手軽に手に入りますので、ぜひ検討してみましょう。
・強化ガラス
強化ガラスは、通常のガラスよりも強度が高く、安全性に優れたガラスです。物理的な衝撃に強く、窓ガラスの防犯対策として最適な素材です。
通常のガラスに比べて3〜5倍の強度を持ち、ハンマーなどでの破壊行為に耐えることができます。万が一割れた場合でも、鋭利な破片にならず、小さな粒状になって飛び散るため、怪我のリスクが低いといった効果があります。
一般的には専門業者に依頼する必要がありますので、「まずは手軽に」という場合は、防犯フィルムを検討しましょう。
・面格子
面格子は、窓や小窓に取り付ける金属製の防犯柵です。不審者の侵入を物理的に防ぎ、防犯対策の基本的な装置として多くの家庭で利用されています。外から見えるため、面格子が取り付けられているだけで、不審者が侵入を躊躇する可能性が高まります。
DIYで取り付けるタイプのものも販売されていますが、できれば専門の業者に依頼するほうが安心でしょう。
・ホームセキュリティアプリ
ホームセキュリティアプリは、スマートフォンやタブレットを使って、自宅やオフィスのセキュリティを管理・監視するためのツールです。防犯カメラ、センサーライト、スマートロックなどのスマートデバイスと連携し、リアルタイムで状況を確認したり、アラートを受け取ったりすることができます。
防犯カメラやインターホンの映像を外出中でも確認できるほか、不審者の動きや異常(ドアの開閉、窓の破損、動きの検知など)を検出すると、スマートフォンにプッシュ通知を送信してくれるなど、防犯効果を格段にアップさせることができます。
もしも被害にあってしまったら
もしも空き巣に入られてしまったら、空き巣犯がまだ家の中にいる可能性もあるため、絶対に室内に入らず、まずは外で待機してください。もしも犯人を発見しても、刺激しないよう退避し、近所や車の中など安全な場所で待機しましょう。
現場には手を触れず、すぐに110番。警察と保険会社に連絡を入れ、指示に従ってください。
また、高価なものや機密性の高いものを保管している建物の場合、セキュリティサービスを導入するのも忘れずに検討しましょう。