瓦はとても耐久性が高く、寿命の長い屋根材です。素材によっては50年以上使用できるほどですが、寿命を長く保つには定期的な点検とメンテナンスが不可欠と言えるでしょう。

今回は、そんな瓦屋根の正しいメンテナンスについて紹介します。

瓦屋根の種類と特徴

瓦屋根は日本の伝統的な屋根材で、その耐久性と美観から多くの住宅で採用されてきました。種類としては主に2種類に分けられ、耐用年数やメンテナンス方法が異なります。

粘土瓦

粘土瓦は、最も古くから使われている瓦であり、主に粘土を高温で焼成して作られます。その耐久性は非常に高く、適切なメンテナンスを行えば50年以上使用できることが多いです。さらに、粘土瓦は色が変わりにくく、火災にも強いという特徴があります。
そのためメンテナンスとしても、表面の塗装は不要。ただし年数が経つとズレやゆがみが生じたり、固定する漆喰が経年劣化するため、その修理が必要です。また、強い衝撃があった場合には破損するため、台風などの自然災害に遭ったあとは要注意です。

セメント瓦

セメント瓦は、セメントを主な原材料とする瓦で、比較的新しい屋根材です。価格が比較的安価であり、施工も容易なことから、近年では広く使われています。しかし、粘土瓦に比べると耐用年数は短く、一般的に30年程度とされています。 セメント瓦は経年劣化により色が褪せやすく、定期的な塗装や防水処理が必要となります。メンテナンスを怠ると、苔や藻が発生しやすくなるため、定期的な点検と対応が求められます。

メンテナンスのタイミングと費用相場

瓦屋根は耐久性が高いとはいえ、定期的な点検とメンテナンスが必要です。放置すると、雨漏りや建物全体の耐久性に悪影響を及ぼす可能性があります。

点検や修理のタイミング、費用相場は以下の通りです。

定期的な点検

瓦屋根の点検は、3〜5年に一度が目安です。耐用年数が長いとはいえ、屋根は普段よく見ることができない場所。ズレやゆがみを放置しないよう、定期的に点検するのがおすすめです。
加えて、台風や地震などの自然災害の後も点検するのが吉。瓦がずれたり、割れたりしていないかを確認するようにしましょう。
点検は専門業者に依頼するのが一般的で、費用は数千円から1万円程度が相場です。

メンテナンス

瓦のメンテナンスは、種類によっても異なりますが、おおよそ10〜20年ほどがタイミングです。部分ごとに分けると、瓦を固定する漆喰は約10年、瓦の下に敷かれている防水紙は約20年程度が修理の目安。また、セメント瓦の場合は約10年ごとに塗装が必要です。
小さな修理であれば、瓦1枚あたりの交換費用は数千円から数万円程度。ただし、修理が広範囲に及ぶ場合は、数十万円に達することがあります。
また、屋根の修理では足場の設置が必要なため、修理費用に加えて1回あたり15～20万円の費用が発生します。そのため、同じく足場の設置が必要な外壁の塗装も合わせて行うのがおすすめです。

葺き替え

耐用年数が非常に長い瓦ですが、その長い寿命を過ぎるとやはり劣化してしまい、瓦を一新する葺き替え工事が必要となります。タイミングとしては素材ごとの耐用年数、粘土瓦なら約50年、セメント瓦なら約30年が葺き替えの目安です。
葺き替えの費用は100万円から200万円程度が一般的。このリフォームには、瓦の交換や防水シートの張り替え、屋根全体の補強作業が含まれることが多くなっています。

保険の適用について

瓦屋根の修理やリフォームに関して、火災保険や地震保険が適用されるケースがあります。これは、自然災害による損傷が原因の場合です。

台風や地震で瓦が破損した場合は、こうした保険で補償されるのが一般的。ただし、保険が適用されるかどうかは契約内容によります。被害が発生した際には、速やかに保険会社に連絡し、損傷箇所の写真や修理見積もりを提出する必要があります。

保険申請の流れ

自然災害による損傷が発生した場合、保険会社に連絡し、被害の報告を行います。その後、専門業者による被害状況の調査が行われ、修理の見積もりが提出されます。保険会社が補償範囲内と判断した場合、修理費用が保険でカバーされます。保険申請の手続きがスムーズに進むよう、事前に契約内容を確認しておくことが重要です。

まとめ

瓦屋根は耐久性に優れているものの、適切なメンテナンスが必要不可欠です。特に、定期的な点検を行い、問題が発見された場合には早急に対応することが、屋根の寿命を延ばす鍵となります。また、自然災害による損傷が発生した場合には、保険を活用することで修理費用を軽減することが可能です。瓦屋根を長期間にわたり美しく、そして安全に保つためには、定期的なメンテナンスを欠かさないことが重要です。