全館空調へのリフォーム。費用相場や注意点について
主に商業施設やオフィスビルなどの大規模な建物に導入されている、全館空調。近年は快適な室内環境や省エネの観点から、住宅への導入も人気。新築での導入はもちろんのこと、リフォームでの後付けの相談も増えてきています。
とはいえ、住宅全体の空調システムであるため、後付けする場合は大掛かりな施工が必要となるケースがほとんどです。今回はそんな全館空調の後付けリフォームについて、注意点も交えて紹介します。
全館空調とは
全館空調とは、建物の各部屋や空間に設置された複数のエアコンユニットを統合管理し、一斉に制御する空調システムのこと。一般的な個別のエアコンではなく、複数の室内ユニットと連結された中央制御ユニットを持ち、冷暖房や換気を効率的に行います。全館空調を導入することで、各部屋の温度や湿度を均一に保ち、快適な室内環境を実現することが可能です。
全館空調は、快適性だけでなく、省エネルギー性も高い特徴があります。各部屋ごとに温度設定を行うことで、無駄な冷暖房を防ぎ、エネルギー効率を向上させることができます。また、建物全体の冷暖房負荷を均等に分散するため、エアコンの寿命を延ばすことができる場合もあります。
全館空調の後付けリフォームは可能?
ご自宅に全館空調を後付けすることは、多くの場合、可能です。ただし、全館空調の効果を発揮するには、気密性と断熱性を持っている住宅であることが前提となります。
気密性や断熱性が低い住宅の場合は、断熱工事や補強工事が必要となるため、その分費用も高騰しますし、工期も長くなります。 省エネや室内環境のメリットに対して、費用や工期が見合うかどうか見定めて進めていくのがおすすめです。
全館空調の後付けリフォームの注意点
全館空調の後付けリフォームにはいくつかの注意点があります。まず、建物の構造や配管など、既存の設備に制約がある場合があります。
また後付けリフォームでは、ダクトや室内ユニットの設置スペースやルートを確保する必要があります。場所によっては、壁や天井の一部を切り取って、また修復する、といった作業が必要となる場合もあります。
断熱性や気密性をクリアしていても、このように必要な作業が多くなり費用が高騰するケースが多いのです。 リフォーム業者との計画段階でこれらの要素を考慮したプランを提示してもらい、工事期間や生活への影響を最小限に抑えるようにしましょう。
全館空調の後付けリフォームの費用相場
全館空調の後付けリフォームの費用相場は、施工する床面積や設備の種類、施工難易度などによって幅があります。ダクト設置や室内ユニットの設置、配管工事なども含め、費用は100万円以上から500万円程度になることが一般的です。
さらに、断熱性や気密性に課題がある住宅の場合、全館空調本来の効果を得るには断熱工事や補強工事が必要となり、さらに数百万の費用がかかることも。現在の住宅の性能によっては、現実的とは言えない額になってしまうのです。 また、全館空調の後付けリフォームでは、設置以降もメンテナンスで年間2〜5万円程度の維持費がかかってきます。長期的な視点で経済的にメリットのある全館空調システムを選ぶことが大切です。
まとめ
全館空調の後付けリフォームは、快適な室内環境を実現するために便利な方法ですが、注意点や費用相場を把握しておくことが重要です。建物の構造や設備の制約を考慮し、専門家のアドバイスを受けながら計画を進めましょう。