近年、公共施設や戸建住宅で広く進んでいるバリアフリーリフォーム。マンションでもその必要性は高まっています。特に、二世帯同居や高齢者の方が居住する場合には、バリアフリーの要素は不可欠と言えるでしょう。今回の記事では、そんなマンションにおけるバリアフリーリフォームのポイントと費用相場について紹介します。

バリアフリーリフォームのポイント

マンションでのバリアフリーリフォームでは、どのような施工がおすすめでしょうか。ここでは、代表的なものをご紹介します。

段差の解消

代表的なバリアフリーリフォームとして挙げられるのが、段差の解消です。
特に築年数の古いマンションでは、トイレや浴室など水回りの床に段差があることが多くなっています。これは排水管に勾配をつけておく必要があったのが理由ですが、高齢者の方にとってはこうした少しの段差が危険につながります。
スロープの設置や床の高さ調整などにより、安全に移動できる床環境をつくっていきましょう。比較的費用を抑えられるのはスロープの設置で、1箇所あたり2万〜10万円程度が相場です。

手すりの設置

落下や転倒を防ぐために、廊下や浴室などに手すりを設置するのも代表的なバリアフリーリフォームです。費用は手すりの種類や設置箇所によって異なりますが、1箇所あたり2万〜5万円ほどが相場です。

トイレ、浴室のバリアフリー対策

トイレや浴室は、手すりの設置や段差の解消のほか、介助が必要な場合・車椅子を利用する場合といった利用者の状態に合わせたバリアフリー設計が必要となります。例えば介護しやすいよう部屋のサイズを広くする、浴室に腰をかけるベンチを設ける、など。そのほかにもトイレの自動洗浄機能など、バリアフリーに適した商品が多く販売されているので、必要な機能と照らし合わせながら選ぶのがおすすめです。
費用は浴室で30〜60万円程度、トイレで5万〜50万円程度が相場。ただし間取りの変更などを伴う場合はさらに費用がかかってきます

ドアの変更

ドアが開き戸だと、高齢者にとっては開閉が負担になってしまいます。負担の少ない、引き戸への変更を検討しましょう。費用は20万〜30万円程度が相場ですが、間取りの変更や壁の補強が必要な場合があり、50万円ほどかかるケースも少なくありません。

その他

そのほか、バリアフリーのリフォームでは、実際の生活をイメージした細かい施工や、家具の配置なども重要となります。例えば足元まで明るく見えるよう照明を変える、車椅子の移動スペースを確保する。場合によっては、寝室と水回りなどの動線を近づけるための間取り変更も選択肢に入れるのがおすすめです。

補助金・助成金について

バリアフリーリフォームでは、補助金制度などにより負担を軽減できる場合があります。所得税・固定資産税の減税、高齢者住宅改修費用助成制度、また地域によって異なりますが、バリアフリーリフォームに対する一定額の補助金が支給される場合があります。
事前にリフォーム会社に相談し、活用できる制度を確認しながら進めるようにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。もともと戸建住宅と比較して、間取りなどの面で高齢者にとって住みやすい環境であることが多いマンション。とはいえ段差や水回り設備など、生活の中で負担になる箇所も少なくありません。ご自身やご家族の年齢や生活に応じて、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。